昨年(2018年)の最新改正を反映させた中華人民共和国憲法の対訳版を執筆しました(Kindle版)。
私が学部生の頃までは、対訳版と向き合って外国法を学んでいました。特に第二外国語を母国語とする外国法の場合、非常に重要な作業だと聞かされたものです。
例えば、中国法の場合、
中国語原文の法令条文⇔英語訳の法令条文、そして日本語訳するか、
中国語原文の法令条文⇔日本語訳の法令条文、そして英語訳と参照して再検討するか
を繰り返し演習させられました(今思えば、ありがたい演習内容でした)。
なぜ、上記の演習作業が必要かと言えば、私たち日本人にとって、他国の法は「異文化」の法だからです。そのため、日本文化の基礎の上に翻訳した現代中国の法は完璧なものではありませんから、第三の目として英語訳したものとの再検討をして、より完璧なものへと理解を深めようとしたわけです。
ところが、いつの間にか概説の本は多いのに、対訳の本がごく僅かになる状況が生まれてしまっています。
確かに現代中国の法は、目まぐるしい変化を見せて落ち着かないように見える面もあります。言い換えれば、対訳・検証作業が追い付かない、または労多くして益少なしの結果になりがちであることも否定できません。ですが、だからと言って、この作業を放棄すべきではないと思います。
そこで本書を上梓しました。もちろん、この対訳が絶対正しい、正確であると断言する気は毛頭ありません。「異文化」を理解する上での手段の1つになればと考えた結果です。
なお、本書をスタートと位置付けて、「現代中国法」シリーズを複数の有志の協力の下で進める予定です。メンバーそれぞれが忙しいので、中長期的なスパンで末永く続けられたらと考えています。
本シリーズの趣旨に賛同いただける有志の方は、(1)お名前、(2)翻訳したい法令、および(3)希望する翻訳作業の手順・分担をメールでご一報ください。企画協議のうえ、参加して頂きたく存じます。 → (連絡先メールアドレス)