講義を担当し受講生に教示する中で、おそらく永遠の課題になるのでしょうが、
論理的文章を誰にでも書かせられる教え方を探し出せていません。全員に通用する
教え方というのは私にとって難しいので、手を変え品を変え一人一人と向き合って
います。そんな中で、今回は次の本を紹介したいと思います。
深沢真太郎著『数学的に考える力をつける本』
三笠書房2020年
この本の筆者は、数学をコトバの学問であるとして「数学コトバ」なるもので
解説されていきます。とはいえ、その構造は論理的文章の構造ないし書き方その
ものであり、PREP構造、接続詞の使い方、帰納的説明・演繹的説明等として、
拙著『入門大学生』で解説していることとその本質は同じです。
なお、おススメしたいのは同書チャプター4「人生を変える「論証力」の磨き方」
です。このチャプターでは「美しさ」を基軸として論証することが自分自身のため
に役立つことを解説されているのですが、それを自身の周囲そして社会全般へと
視野を広げていけるように述べられています。文章を読むのが好きでないという
人は必見です。
総じて同書は軽いタッチで書かれていますので、重厚で長文を読むという感覚を
味わうことはありません。一方で、要点についてはポイント毎に必ず確認できる
ようにポップなデザインにしたり挿絵的にしたりという工夫が加えられていますの
で、スキマ時間をつかって意識して読めば、一日で読破できるでしょう。
ぜひ一読ください。
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