図書館と聞くと、皆さんは、どんなイメージをもちますか?
静かでひっそりとした空間、眼鏡を掛(か)けた真面目くんや
真面目さんが集中して本を読んでいる所、試験勉強に没頭して
いる中年のおじさん(別に中年でなくても…というツッコミは
ナシにして)がいるところ等々といった感じでしょうか。
そんな図書館ですが、図書館に保管される物(もの・ぶつ)
から紐解いてみたいと思います。図書館には、紙媒体の図書が
あります。そして、新聞雑誌があります。さらに、映像資料が
あります。これらに共通していることは何でしょうか。それは
「過去・これまでの人々の知恵が保存された知識」です。
よく知られている事実の一つに、成功する人たちは図書館へ
通うという事柄があります。彼・彼女らは図書館において何を
得ているのでしょうか?簡単に言えば、過去の人々の知恵から
学んでいるのです。
例えばアイデアの発想は技術に似ていると言われます。才能
ではないのです。なぜなら、アイデアの発想の殆(ほとん)ど
は、これまでの知恵の組み合わせにすぎないからです。新規性
のあるアイデアだけ、才能のある人が世に知らしめてくれれば
良いのです。そして、そのアイデアも知識として、いつか私達
も学ぶことができるはずです。
おそらく、ここまでの話ならば、Google博士をはじめとする
Web検索をしても同じ結果になると言えるかもしれません。が、
図書館とWeb上の情報との間には決定的な違いがあります。Web
上の情報は端的(たんてき)に答えとなる情報を教えてくれま
すが、何故そうなるのかを教えてはくれません。一方の知識と
は、何故そうなるのかまで教えてくれます。
この違いは、問題と解答を丸暗記して試験を乗り越えようと
している人にとってみれば、大きな違いになります。問題と解
答の丸暗記は、言ってみれば情報にすぎません。したがって、
問題が少し変化すると違う問題であると認識してしまって誤答
を誘発してしまいます。実際に、私の担当する講義の期末試験
では、講義の中で受講生の皆さんと一緒に解いた問題やレポー
トで課した問題を少し修正しただけの問題を出題しているので
すが、試験後の某SNSなどでの受講生の呟(つぶや)きを見る
と「嘘つき」だとか「授業で扱わなかった問題だった」などの
呟きを毎期見ています。もちろん、このような受講生の中には
講義を受けたフリで乗り切って受験したという学生もいらっ
しゃるでしょうが。
要するに、図書館が保管する図書をはじめとする資料は何故
そうなるのかまで教えてくれる知識であり<読む>という作業
を通(つう)じて体系的に理解できるように仕向けてくれてい
ます。典型的な例として図書・書籍を上げてみれば、それは、
章立て・目次の形で知識の構造や体系を先(ま)ず視認でき、
冒頭から読んでいくと体系的に理解できるようになっている筈
です。もちろん辞書のような参考図書は情報集といった方が
適当かもしれませんが、それも図書・書籍と併用することによ
り知識を学ぶための手引きをしてくれるものです。その意味で
私は映像資料も<参考図書>扱いしています。
最後に、皆さんにとっては想像できないことかもしれません
が、昔の図書館は24時間稼働していました。個室が複数個用意
されている図書館では関連する図書などを可能な限りカートに
積んで個室へ持ち込み、徹夜で取り組むことができましたし、
談話室で仲間たちと意見交換したり議論したりできたものです。
その空間での学びは、自分の知らない未知の人や知識との対
話であり、非常に刺激的で得難い経験でした。この武漢コロナ
の中では昔の図書館のような経験を得ることは難しいでしょう
が、図書館が保管している図書をはじめとする資料は同じです。
また、高校までに読んだこと、見たことのある資料であっても
大学生になって改めて読んだり見たりすることで未知の発見が
ないとも限りません。なぜなら、それだけ皆さんも成長してい
るからです。
ぼーとする自分に気づいたら、次の言葉を口ずさんで自分の
向かう途(みち)を示してあげてはいかがでしょうか。
そうだ!図書館へ行こう!
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