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Daisuke, MITARAI

第34回「虚偽訴訟と真のリスク」


2019年 6回目です。

今回は、情報の読み解き方の必要性の第3弾として、指導性裁判例の傾向性から読み解く方法を紹介しました。

指導性裁判例とは、最高人民法院(現代中国の裁判組織のトップ組織)と最高人民検察院(同検察組織のトップ組織)が制定する、下部組織が類似の事件を処理する際の指針とする裁判例のことです。

2010年前後から本格的に運用され始めたのですが、その当時、これを日本も含めた西側諸国の「判例制度」を目指すものであるとして評価したり、この趣旨に沿った中国人研究者の言を殊更に取り上げ、自らの主張が間違っていないことを立証したかに見せる言動が少なくありませんでした。

本当にそうなのかな?と、当時、勧められるままに裁判事例研究会なるものの幹事をさせて頂いたこともありましたが。

私の結論から言えば、これらの指導性裁判例群は、立法であり、法令の類いと同等です。私たちの社会で通用している判例のような存在にはなり得ないと思料します。この論証については手前味噌で恐縮ですが、雑音の多い『中国的権利論』を現時点では読み直して頂ければ、と思います。

今回は、それほど小難しく書いてはいませんので、いつもよりは、ご笑読いただけるのではないかと思います。

追伸:ここで書くべきではないことは重々承知ですが、どこぞの扇動家さんが香港の件で煽っていらっしゃるようですので、一言だけ。いま、香港で起こっていることは確かに民衆の民意の一部が表に出ているものでしょう。ですが、香港普通選挙要求運動において、なぜ頓挫したかを反省しての作戦・対応を講じるべきです。伝え聞く情報を読み解く限り、国家・行政側の退却=一時離脱時に続々と打っている手は、極めて妙手。香港より遠くにいる扇動家や運動家さんには、この妙手のリスクが見えていないのでしょうか? 否、見えているけれども、そこに落ちれば再び自らが脚光を浴びる機会になることこそ期待しているのでしょうか?[了]

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