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Daisuke Mitarai

正解を欲しがるのは高校までで卒業しよう

 数式をつかって一つの答えを出し、その答えが合っていれば「正解」です。

正解すると嬉しいものですが、それは単に数的処理が正確にできた証明でしか

ありません。


 私の父は高校数学の教員を長年勤めてきました。その父が、私が幼い頃に

呟いたことの一つに「算数的な理解」がありました。つるかめ算などはその

典型例で、数式と「規則」を使って正解を出すことの意味を意識して知ろう

などとは思っていなかったと思います。


 そんな私ですから、高校になると数学がめっぽうできなくなりました。

 問題をいくつかのパターンで整理して、そのパターン毎に数式を当てはめて

解く罠から逃げられなくなったからです。失敗の原因は単純で、「なぜそうな

るのか」を考え抜いていなかったからです。本来ならば、「思考を進める結果

できるようになる」という学びを深めていなければならないところ、正解を

欲しがったために上記のパターン思考が定着してしまいました。


 さらに悪いことに、分からないことが悪いことであるというふうに、自分を

追い詰めてしまい、無意識のうちに数字から距離を置き、逆に文字に接近する

ことになりました。それが結果として「法」に目覚めたのですから、実は悪い

ことでも何でもなかったわけですが、当時は期待するほど点数を獲得できませ

んでしたし、ちょっとした絶望を感じながらの毎日を過ごしていました。


 大事であったことは、「分からないと感じるほど自分で分かろうとした」事

を大切にしてあげることでした。規則とは思考を進めた答えまでの数式です。

ですから、問題が前提としている規則を発見できれば自然と答えが出せます。

そして、問題の前提となる規則の発見はパターンを発見することと一致します

要するに、パターン思考が定着したことが問題だったのではなく、問題に

向かって取り組んでいなかったこと、言い換えれば正解を欲しがっていたこと

にありました。


 なぜ、こんなコラムを今回書いたかと言えば、受講生の皆さんの答案や質問

のいくつかが、同じ失敗を進行中なのではないかと感じたからです。

 A「なぜ、この結論ではダメなのですか?」

 B「400字以上書けば合格なのですね?」

 C「人権って守らなければならないのではないですか?」

 D「理由は分からないけど、皆それはいけない事だということは常識です」

 E「Fと同じ答えなのに、なぜダメなのですか?」


 正解を欲しがることから卒業しましょう。大学では無数の正解を見つけて

いきましょう。なぜなら、規則があれば正解になるステージに皆さんは進学

するからです。


 皆さんの大学生活が正しい学びを修得する場となりますように。祝、進学!

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