今日は、ことば(概念)を学ぶということがどんなことかについて
お話してみたいと思います。
唐突ですが、皆さんは単身年収1000万円と夫婦世帯年収1000万円で
手取りはどちらの方が多いと思いますか?
ご存じの方もいらっしゃると思いますが、日本の税制は累進課税制
を採用しています。そのため、課税所得金額が大きくなるにつれて、
税率が5%、10%、20%、23%、33%、40%、45%と変化します。
これは税の「公平」な負担を実現するためであると言われています。
では、実際に単身で働いている場合と夫婦共働きの場合とで算出し
てみることにします。
1.単身で働き、夫婦が専業守備の場合
所得税の税率は20%となりますから、所得税額は78万7100円です。
2.夫婦共働きの場合
合計で1000万円という想定ですから、ここでは夫600万円、妻400万
円として算出してみたいと思います。
取得税の税率は、600万円の場合が税率10%で、400万円の場合は税
率5%となりますから、所得税額の合計は28万4740円となります。
はい。皆さん、共働きしましょう!(笑)
ではなくて、今日は「公平」ということば(概念)のお話でした。
そもそも公平とは、どういう意味でしょうか。一般に言われている
説明を整理してみると、公平とは<判断や言動、すべてのものを同じ
ように扱うことであり、判断や処理等が偏っていないこと>の様です。
既に確認したように、日本の税制が採用する累進課税制は税の公平
負担を実現するために採用されていると言われてきました。しかし、
上記の視点で見た場合、世帯収入は同じ1000万円だったとしても、単
身年収の場合と夫婦世帯年収の場合とで納税額は3倍近い偏りが生じ
ていることが分かります。
果たして、これを「公平」な負担であると言ってよいのでしょうか。
おそらく「公平」ではないと思う人も出てくると思います。世界各国
と比較してみると、このような税制は公平でないと判断し、世帯単位
で所得を合算する世帯単位課税を実施している国もあります。しかし
日本は(少なくとも現行法の下では)そうではありません。
偉そうな言い方になるかもしれませんが、「公平」という言葉(概
念)に、私たちはどこか騙(だま)されているのかもしれません。
<ことば>を額面通りに受け取るのではなく、その意味するところ
と実際の事とを比較して理解する必要があることを、私たちに求めら
れているのではないしょうか?
Comments