A店は75%OFFとして商品を販売しています。一方、B店は
70%OFFとして商品を販売し、かつ、レジで15%OFFにすると
あなたに言いました。さて、どちらのお店で買う方がお得で
しょうか?
今日は数字をどのように理解したらよいのかを考えてみた
いと思います。拙著『入門 大学生』において指摘している
言葉、表現の仕方が読み手に与える印象の違いの応用編です。
単純に数字を目で追う(=絶対として理解する)としたら、
次のように理解できます。
A店 75%OFF
∴正規価格の75%割引で買うことができる。
B点 70%OFF+15%OFF
∴正規価格の85%割引で買うことができる。
さて、実際はどうなるのでしょうか。こちらも単純にして
みることにしましょう。例えば正規価格1万円の商品であると
してみると、どうなるでしょう?
A店 10000×(1-0.75)=2500
∴2500円で買うことができる。
B点 10000×(1-0.70)=3000
3000×(1-0.15)=2550
∴2550円で買うことができる。
一目瞭然ですね。A店で買う方がお得であると言えます。
これは「数字のトリック」として一般に知られていること
です。騙(だま)された、と感じる人もいるかもしれません。
しかし、買う人の買いたいという気持ち(購買意欲)を促す
手段として、同時に間違ったことを言っているか否かの真偽
とを天秤にかけるならば、仕方がない=我慢(がまん)する
ことのできる騙しということになるでしょう。※下線の部分が
法的論理に言うところの比較衡量(論)や信義則という理屈。
本来であれば、数字も(そして、言葉や表現も)絶対のもの
として一人ひとりが使う世の中ならば、こんな騙しなんて不要
になるかもしれません。とはいえ、そんな世の中は理想でしか
ないと私は考えます。なぜならば、一人ひとりの感情は、PC
のプログラム言語のように「0」か「1」で表現できるような
単純なものではないからです。
例えば、Cさんが「面白い」と感じる程度とDさんが「面白
い」と感じる程度が完全に一致することは珍しいでしょう。
同じ様に、Eさんが「自由だ」と感じる程度とFさんが「自由
だ」と感じる程度も完全に一致することは珍しいのではないで
しょうか。要するに、一人ひとりの感情は絶対の数字で表せる
程度に単純なものではないのです。
その一方で、相対の、曖昧(あいまい)な表現だからこそ
共感できたり、相互理解できたりすることが世の中には溢れて
います。前述した例をとってみても、「面白い」程度に差が
あったとしても「面白い」とCさんとDさんが共感できれば
楽しい一時を過ごすことができるのではないでしょうか。なぜ
なら、そこには<相対>の「面白い」という表現を通じて
<絶対>の「面白い」という<表現>を共に感じる<一時>が
存在するからです。
ひょっとすると、冒頭の「数字は絶対か、それとも相対か?」
という問いが誘導尋問であると批判されるかもしれませんが、
本日のコラムで言いたいことは誘導尋問と批判されようが、され
まいが、どうでもよく(笑)、数字や言葉、表現には<絶対>と
<相対>が共存・共生していることを意識して、目の前に遭遇
する数字や言葉を理解するように努めていきましょうという事
だけです、はい。
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