今回は、タイトルにあるとおり「自分の評価を下げる」話し方について、紹介したいと思います。実は、今回紹介するポイントは文章のレベルがなかなか上がらない原因とも共通しているものですから、そういう意味では「自分の日本語力がレベルアップしない」話し方について紹介するものと考えてもらっても差し支えありません。
ポイントは、相手に伝わりやすいだろうと思って使う「いい!」「すごい!」などの漠然とした表現しか使えないところにあります。これらの言葉は、品詞的には形容詞が多いため、形容詞を使う時に、もう一つ工夫を加えることを意識して実践することが、日本語のレベルアップにつながりますし、自分の評価を下げない結果につながるこということですね。
例えば、何かの面接試験で、ガクチカを問われたときを想像してみましょう。どちらの答えの方が面接官の評価は上々になりそうでしょうか?
Q.大学時代に勉学で頑張ったことを教えてください。例えば、どんな先生のどんな講義が良かったですか?
A1.〇〇先生のマクロ経済学がおもしかったので、頑張りました。〇〇先生はいい人でした。
A2.〇〇先生のマクロ経済学が、実際の事例に即して講義されていて面白かったです。講義自体は多くの情報量を毎回示されたので整理したり復習したりして付いていくのが大変でしたが、頑張りました。例えば、復習のときにわからなかった部分について次の講義の前にもう一度講義してくださるぐらい〇〇先生はいい人で、マクロ経済学の面白さに少し触れることができたと思います。
A1.の答えでは、面接官にまったく伝わらないだろうと思いませんか? 「情熱的な先生でした。」「〇〇の講義は有意義でした。」などの答えも、同様でしょう。一方、A2.の答えでは、具体的な事実が加えられています。結論は、マクロ経済学が面白かったこと、その先生がいい人だったことの2点なのですが、面接官の貴方に対する評価はA1.の答えを選ぶよりは格段に上々のものになるでしょう。
要するに、「何が」面白かったのか、「どこが」いい人なのかというように、伝えられる側の立場に立てば、シンプルな形容詞のたぐいの言葉を投げてこられても、どのように理解・処理してよいのかが分からないため、貴方を面倒くさい人かもしれないと認識してしまうわけです。どうぜ面倒くさい人と思われるならば、自分という人間をしっかりと伝えたうえで思われた方が後悔しないでしょう。
さて、自分の日常生活をふりかってみてください。お友達と話すとき、シンプルな形容詞だけで会話を成り立たせていませんか?また、教職員の方と話すときは、いかがでしょうか?街中ではどうでしょうか?
そんなことは就職活動が始まってから直せばよいと思うかもしれませんが、人間というものは切羽詰まったときにこそ、その人の本性が出ます。その人の本当の姿という意味ですね。就職活動が始まって急につくろったとしても、そんなメッキは直ぐに剥がれ落ちますから、日々の時間の中で、意識して実践しておくことが、後々の苦労を少しでも減らすことにつながると考えます。
さて、今回のコラムはいかがでしたでしょうか? 皆さんなら、どのように答えますか?
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