先月の『Neture』に掲載されたものですが、面白かったので覚書しておきたいと思います。
「Synaptic wiring motifs in posterior parietal cortex support decision-making」『Neture』
https://www.nature.com/articles/s41586-024-07088-7 最終閲覧日:2024年3月11日
前提として、人の脳内の神経ネットワークは「他のニューロンを興奮させる興奮性ニューロン」と「他のニューロンを抑制する抑制性ニューロン」があるそうです。この両者が何かの意思を決定する際に、どんな働きをしているかを研究した結果が上記のものとなります。
簡単に整理しておくと、行なわれた実験は次のようなものでした。
Aという決定を行なう場合に(a)というニューロンの中の一部の興奮性ニューロンが発火し、同時に(b)というニューロンを抑制する抑制性ニューロンが起動した。
Bという決定を行なう場合は(b)というニューロンの中の一部の興奮性ニューロンが発火し、同時に(a)というニューロンを抑制する抑制性ニューロンが起動した。
したがって、何かの意思決定を行なう場合には、その意思決定を後押しする事とその意思決定とは逆の意思を抑制する事とが脳内では起こっていると言える。
優柔不断なところを直そうとする際のアドバイスに似ていると思いませんか?
例えば、朝の勉強(通称「あさべん」)や宿題は必ずやるという習慣づけが、できる人となかなかできない人が世の中には居ます。後者の人に対して伝えるアドバイスの1つが、『それをやらなかったら、どうなると思う?』です。
朝の勉強をしなければ、その分だけ他の時間を使って勉強しなければならなくなるわけですから、自分の自由な時間がその分だけ減るということです。それは宜しくないと実感できれば、朝の勉強もせざるを得なくなるだろう…
宿題をしなければ、その分だけ周囲の人たちと比べて遅れるわけですから、学期末の成績評価において他の人と比べて低い評価になる可能性が高くなるということです。
とはいえ、実際に優柔不断な人は、一夜漬けで何とかなるとか、泣き落としをすれば何とかなるといった気持ちが勝ってしまうため、習慣づけをするのが苦手なのですよね。
要するに、何かの習慣づけをするのが苦手だなと思う人は、自分の行なう決定がその後にどんな結果をもたらすか、その予測を真剣に考えてみてくださいということです。
どうしても予測するのができないようでしたら、一緒に予測してみましょう。気軽に私の研究室へいらしてください(御菓子も用意しています)。
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