今回も日本の話ではなく、お隣の国中華人民共和国(現代中国)のお話で恐縮です。
一応紹介しておくと、私は日本の法理論を追究するために、歴史的には連関しつつ日本法とは完全に異なる法理論を土台に展開する現代中国法との比較分析を行なう手法で研究を開始したものですから、他の方々と比べて現代中国に関する言説が自然と多くなる背景をもっています。
そういえば、このコラムの上梓で今月(3月)は2件を上梓したことになります。春休み的な時間の使い方・過ごし方ができているお陰かもしれません。
コラム
立法法の改正をどうとらえるべきか(Science Portal China,知財・法律)
今回のコラムでは、3月に改正された中華人民共和国立法法の内容について、条文解釈を
中心にしてその立法趣旨を探ってみました。注目した箇所の進級条文を中国語原文のままで整理しておきましたから、中国語の学習者の方はぜひ辞書を片手に翻訳にチャレンジしてみてください。
中国語が分からないという方は、「どこが変わったのか」「何が追加されたのか」に注目してみると、比較分析という手法が複雑な手法でもなんでもなく、非常に簡単で頭の整理にほかならないことを実感してもらえるのではないかと思います。
一応伝えたいことを前もって書いておくと、立法法の改正の報道を受けて、有事法制すなわち外国から武力攻撃を受けた場合等の有事に対応するための法制であるとの評価が多く見られますが、経済的な緊急性を意識した立法による対応や(現時点では独自性を保障する姿勢を維持している)香港、マカオの法制を将来的に現代中国法に吸収統合する意図があるのではないかという視点にも留保しておきたいですね、というお話です。
ご笑読いただければ、幸いです。(了)
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